新型コロナウイルスの影響で見直されたり、注目されたものは数々ありますが、その中でも仕事に圧倒的に便利なのが電子印鑑です。オフィスでの仕事に「ハンコ」は欠かせない重要アイテムです。コロナ渦で在宅ワークが増えるなか、ハンコを押すためだけに出社しなければいけないことが話題になりました。
この記事では、そんなハンコを自宅に居ながら押印できるサービス「電子印鑑」についての解説とおすすめの電子印鑑サービスを5つご紹介します。
この記事を読むとわかること
- 電子印鑑にはどんなものがあるか分かる
- 自分の使用用途に合った電子印鑑サービスが分かる
目次
電子印鑑って?
電子印鑑を簡単に説明すると、デジタル化された印鑑のことです。「電子署名法」の項目で詳しく説明しますが、実は20年前から法律でも「電子印鑑は有効」と認められており歴史があります。
リモートワークのように出社が難しいが、押印が必要な場合に便利なだけでなく、紙代や印刷代の削減にも有効です。コロナウイルスの影響でも注目を集めていますので、これから広まっていくサービスと言えます。
電子印鑑について語る上で知っておきたい「電子署名法」
電子印鑑についてまず気になるのが法的に印鑑として有効なのかということだと思います。実は電子印鑑も該当する「電子署名」については今から20年も前の2001年に法律が定められています。この法律の概要は下記の通りです。
この法律によりデジタルな署名でも要件を満たせば手描きの署名や印鑑の押印と同じように効力があることが法的に認められることになりました。
電子署名法が平成13年(2001年)4月1日から施行され、電子署名が手書きの署名や押印と同等に通用する法的基盤が整備されました。
また、認証業務のうち一定の基準を満たすものは、国の認定を受けることができる制度が導入されました。電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号。以下、「電子署名法」という。概要についてはこちらをクリックして下さい。)が
平成13年(2001年)4月1日から施行されました。
これにより、本人による一定の要件を満たす電子署名が行われた電子文書等は、真正に成立したもの(本人の意思に基づき作成されたもの)
と推定されます。法務省HPより
電子印鑑には主に2種類ある
電子印鑑には主に印影をデジタル画像にしたタイプと印影にデジタル情報が保存されているタイプの2種類があります。この2つぱっと見は同じように思えますが、実は全く効力が違いますので、注意してください。
印影(通常の印鑑)をデジタル画像にしたタイプ
こちらは、実際の印鑑をPCに取り込んだものやPCで印影を作成したものです。シンプルで簡単、かつお金をかけずに自分で作成することができるというメリットがります。また、デザイン性や質の高い印鑑を作りやすくもあります。
デジタル画像にしただけのタイプの最大のデメリットは法的な「電子印鑑」には当たらないことです。また、複製されやすいため、本人証明が難しいというデメリットもあります。実際の印鑑で言うところの認印のようなものなので、社内でも内輪的な利用など、あまり重要ではない場面の使用に限られます。
印影をデジタル画像にしたタイプのメリット
- 簡単に作成できる
- 自分で作成することも可能
- 好きなデザイン、おしゃれなデザインの印鑑を作成できる
印影をデジタル画像にしたタイプのデメリット
- 法的な「電子印鑑」ではない
- 複製されやすい
陰影にデジタル情報が保存されるタイプ
こちらは、胃炎英にタイムススタンプなどの情報が組み込まれるため、いつ誰が押印したのかが記録されます。法的な要件を満たした正式な電子印鑑ですが、コストがかかるというデメリットがあります。また、自社以外の会社との取引や仕事で使用する場合は取引先の同意が必要となることもあります。
陰影にデジタル情報が保存されるタイプのメリット
- 法的な要件を満たしているため正式な契約などでも使用可能
- 改ざんなどの可能性が低く安全性が高い
陰影にデジタル情報が保存されるタイプのデメリット
- 導入にコストがかかる
- 社外で利用する際には取引先の同意が必要
おすすめの電子印鑑サービス5選
数ある電子印鑑サービスの中からおすすめを5つ選んでみました。有料だけど安全性が高かったり、実印レベルで使用できるサービスから、無料だけど手軽に使用できるものまでさまざまあります。そんな中でもおすすめな電子印鑑サービスを5つ選んだのでご紹介していきます。
GMO電子印鑑Agree
GMO電子印鑑Agreeでは、契約印と実印に使い分けられるよう2種類の署名方法が用意されています。安全かつ法的に有効な電子署名を行うことが可能です。電子署名の利用に迷っている会社にもおすすめのサービスです。
GMO電子印鑑Agreeの料金は以下の通りです。
お試しフリー 契約印&実印プラン (電⼦署名&身元確認済み ⾼度電⼦署名) 契約内容 月額基本料金 0円 8,800円 送信料(電⼦署名) 0円/文書 100円/文書 送信料(⾝元確認済み ⾼度電⼦署名) – 300円/文書 電子証明書 – 1枚⽬無料 2枚⽬以降8,000円/枚/年 ユーザー数 1 無制限 署名数 無料/10⽂書まで 無制限
参考 GMO電子印鑑AgreeはこちらGMO電子印鑑Agree
Shachihata Cloud
印鑑メーカーとしてトップクラスに有名なシャチハタ社の電子印鑑サービスです。こちらのサービスは主に電子印鑑・捺印・文章回覧の3種類があります。
電子印鑑は電子の認印をその場で作ったり、今持っている印鑑をそのまま電子化できます。個人の印鑑だけでなく、角印やサインなどどんなものでも電子化可能です。捺印は作成した電子印鑑を押印できるサービスです。パソコンだけでなく、スマホやタブレットにも対応しているので、どんな時でも押印可能です。また、捺印履歴が残り確認できるため、安心して使用できます。文章回覧はその名の通り文書を回覧できるサービスで、承認もオンラインで行えます。
Shachihata Cloud には、30日間無料トライアルがあるので無料でお試しすることが可能です。
有料版を使用するとなった時の料金は以下の通りです。
印鑑数 初期費用 1印鑑あたり ご請求費用 お申し込み・ご請求単位 Standard版 10個 無料 ¥100 10個×100円×12ヶ月 ● 印鑑のお申し込みは10個単位です。
● ご請求は年単位です。¥12,000 Business版 ¥300 10個×300円×12ヶ月 ¥36,000
Shachihata Cloud のデメリットとしては、電子証明機能がないことです。
Adobe Acrobat
PDFファイルなどでお世話になっている方も多いと思います、Adobe社のサービスです。こちらはPDFファイルに押印できる機能で、無償のAcrobat Readerでも使用が可能です。
安全面では、Adobe Readerでは無料でデジタルID:Self-Sign IDを取得できます。ただし、このサービスは無償のAcrobat Readerでは月2回まで、有償のAcrobat DCでも年150回ですので、会社でがっつり使いたい場合は物足りない回数です。
法的に電子印鑑としての要件を満たしてはいませんが、セキュリティ面では信頼性のあるサービスです。
参考 Acrobat ReaderはこちらAcrobat ReaderCLOUD SIGN
CLOUD SIGNはWeb完結の契約締結クラウドアプリケーションです。電子署名や押印だけでなく、契約書をアップデートしたり、書類の保存など、契約に関するすべての作業をパソコンでかんけつさせることがができます。
使用料は一番安価なStandardプランで月額10,000円から、他にインポート機能も付いたStandard plusで月額20,000円から、より高度なリスク管理機能がついたBusinessプランで100,000円からとなっています。
参考 職印くん32はこちら職印くん32
Standard 全ての基礎機能 ¥ 10,000 ~ /月 月額固定費用 ¥10,000 送信件数ごとの費用 ¥200 ユーザー数 無制限 送信件数 無制限 書類作成・送信 電子署名+タイムスタンプ 高度な認証リクエスト機能 テンプレート作成・管理 チーム管理 Web API CLOUD SIGN HPより
職印くん32
シンプルなサービスとして最後にご紹介するのが「職印くん32」です。
職印くん32は無料で使用できる電子印鑑サービスです。認印、訂正印など5種類のフォーマットの中から作りたい印鑑を選んで作成できます。こちらも法的な効力はなく、認印や三文判といった印鑑と同等の効力ではありますが、シンプルで使いやすい電子印鑑サービスです。
参考 職印くん32はこちら職印くん32まとめ
今回ご紹介したサービスの特徴をまとめると以下の通りです。Adobe Acrobatのように無料でデジタルIDを取得できるサービスもありますが、取得個数に制限があったり、法的には認められていなかったりします。社内での軽微な利用ではなく、本格的に使用したい場合はGMO電子印鑑AgreeやCLOUD SIGNのような高度な認証機能がついたサービスをおすすめします。
以下の図が今回ご紹介したサービスの特徴をまとめたものです。
サービス名 | 料金 | セキュリティ |
GMO電子印鑑Agree | 8,800円(お試し版は無料) | 電⼦署名&身元確認済み ⾼度電⼦署名 |
Shachihata Cloud | スタンダード版で10個の印鑑に申し込んだ場合 10個×100円×12ヶ月=¥12,000 |
捺印履歴は残るが電子証明機能はなし |
Adobe Acrobat | 無料 | デジタルIDを取得可能だが法的な電子印鑑ではない。 デジタルIDの取得個数に制限有 |
CLOUD SIGN | 月額10,000円~ | 電子署名+タイムスタンプ、高度な認証リクエスト機能あり |
職印くん32 | 無料 | なし |
電子印鑑サービスを使用したことがある方は少数派かもしれませんし、印鑑に月額料金や使用するたびにお金がかかることに抵抗がある方もいるかもしれません。しかし、これから普及していく可能性が高いサービスだといえます。
この記事があなたのITライフのお役に立てれば幸いです。